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そのギャップに唖然-聖子が追い込まれたときの絶叫の声質 [松田聖子の歴史を動画で振り返る]

 松田聖子の声質の幅広さにも驚かされた。とくに、追い込まれたときの「絶叫」がハスキーで途切れ途切れになって、なんとも言えず官能的なのだ。普段歌っている伸びやかな高音からは想像できない声質で、落ち着いたしゃべり方になった最近ではほとんど聴くことができない。
 「風立ちぬ」を作曲した大滝詠一が語っているが、その当時は喉の使いすぎで聖子の声は荒れていて、レコーディングの際には気を使ったという。テレビ局やコンサートなどで引っ張りだこだった彼女は、仕事を断ることなどは全くなく、喉が疲弊しながらもともかく歌い続けていたのだろう。事実、デビュー直後の伸びやかな歌声が、この頃になるとやや抑え気味となっている感じもした。それを如実に示したのが、絶叫の際の声質である。
 まずはジェットコースターに乗せられた時の声。これは「白いパラソル」が1位を2回続けた際に、「ご褒美に何が良いですか」と聞かれた聖子が「何か乗り物にのりたい」と回答したことに始まる。次週、3回目の1位となったとき、長崎から帰京する途中で大阪・千里のEXPOLANDからの中継となった。ここからの中継となったのは、この遊園地での売り物だったジェットコースター「スペースサラマンダー」に乗るためだった。このジェットコースターは最初の落下後に直行360度ループを行い、その後らせん状に360度ループを2回行うという、当時としては極めて恐ろしいコースターだった。
 歌い終わった後、このジェットコースターに乗る聖子の様子は何回か復活版ベストテンなどで放送されているが、全部ではない。動画では歌の前のやりとりから歌い終わり、ジェットコースターを降りるまでが完全収録されている。発車後、まず180度ターンで彼女は「きゃー、いやー」という悲鳴を上げる。黒柳徹子が「今の声、聖子さんですよ」と解説するほどの声質なのだが、この後がすごい。
 同乗するアナウンサーが「高さが24mあるそうです」と説明した際には、「は、はい…」と気もそぞろで、目をつぶってはっきりと嫌だという顔をしている。もうほとんど顔はパニックになっている。上っている途中で「これ、どこを持っていればよいんですか?」と言っている時には、かなり目をつぶって「ぁぁー」という声を上げて嫌だという顔を続けている。
 コースターが水平走行に移った時には「あーいやー、あー、こわいよぉ。もーいやー」という声を上げる。この声がもうかすれた絶叫で、もはや途切れ途切れ。意図的に出したものではないだろう。続いて、「怖いよー、落ちるよー」とその絶叫は続く。360度ループの際には、「あー、怖い…」という以外、もう声が出ない。
 1回目の直行360度ループを過ぎた後、次のループに移る前に「もう怖いよう…」とかすれた声で叫ぶ。2度のらせんループではアナウンサーとともに「あーっ」と言うだけ。ループの最後でやはり「こわいよぅ、ぅぅ」と叫んでいた。最後に止まる直前に「んふふぅ」というような吐息のような悲鳴を漏らす。コースターというのは実に計算されていて、これ以上走ると人が限界を超えるという点をわきまえているらしい。おそらく彼女も限界なのではないかという感じで終了となる。
 同乗していたアナウンサーが「大丈夫ですか?」と聞くと、「…もう、怖かった」と笑いながらかすれ気味の声で言うのだが、この声質が実にハスキー。黒柳徹子が「怖かった?と聞くと、少しかすれ気味のハイトーンで「怖いです」と答えている。

ジェットコースター.JPG

 
 この普段の声とのギャップに、かなり笑う。彼女は「もう落ちそうなんです。飛んでるんです。」と言っていた。黒柳徹子が「また乗りたいですか?」と聞くとコースターから降りながら「いやいや、もういいです」で終わりとなる。

 声がほとんど出ていないのは、1982年夏のコント。今でもよくある、箱の中に芸人が入っていて、その中に手を入れるという内容だ。時期から見て、「小麦色のマーメイド」の頃と思われる。ここで手を何回か入れるのだが、その際の悲鳴が途切れ途切れの絶叫になっている。

噛みつかないですか.JPG


 「やーだ、これ何だか暖かいですよ…」と言って箱の中に手を入れるのだが、「はい、両手入れて…」と言われて「やーだこれ、やーだ」と言う声がハイトーンになって、聖子自身が「声が出なくなっちゃう…」と言うのだ。本人も、声が出なくなってしまうことを意識していた発言だ。それからは途切れ途切れのハスキーな声のオンパレード。「だって私の手、舐めるんだもの」「だって今舐めたもの」という声が絶叫になっている。

 ここでも、歌っている時の声とコントの時の声にギャップがあって、そのギャップが実に良い味を出している。もう今では聞くことができなくなってしまったこの絶叫だが、これに痺れた人も多かったのではなかろうか。そしてこれは本人が意図して出していた声質ではないような気がする。

 松田聖子はラジオ番組でも早口で声質が歌っている時とは違っていた。こういった声質や語り口調の違いが、よりいっそうのファン層を取り込んでいったのではないだろうか。
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