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決済過程で現金が必要な「キャッシュレス方式」は本来のキャッシュレスではない [その他]

 今まで現金決済至上主義だった「かつや」や「サイゼリア」、中小スーパーなどが9月末頃から相次いで何らかのキャッシュレス決済を導入した。時代は本格的なキャッシュレス社会になってきたと感じる。
 昨年末頃から本格的に稼働し始めたQRコード決済がこの流れを加速化させたのは間違いないが、「キャッシュレス」という観点から言えば、その決済過程に一切「現金支払い」という過程を経なくても決済が行えるのが本来のキャッシュレスであると思う。「何らかの現金支払い過程」というのは、チャージの際に現金で行う方式、後払いを現金で行う方式が上げられる。
 一方の「完全キャッシュレス」というのは、文字通りその決済過程で一切現金を必要としない方式である。この「完全キャッシュレス」には次の形式がある。
①チャージに銀行口座から直接資金移動が行えるもの
②チャージにクレジットカードから資金移動が行えるもの
③決済がクレジットカードと紐付けられていて、最終決済がクレジットカードで行えるもの
④デビットカードのように、決済した瞬間に銀行口座から決済額が引き落とされるもの

 私は現在、8つの決済方式をスマホにインストールしている。そのいずれもが、現金での支払い過程を経ずに直接決済を行う「本来のキャッシュレス方式」である。前述したように、現金での支払い過程があるキャッシュレス方式は店舗での支払い自体がキャッシュレスであっても、純粋なキャッシュレスではないと考えている。現金でのチャージなどは、キャッシュレス決済の過渡期に存在する現金支払いとキャッシュレスが入り交じった「キャッシュレスのグレーゾーン」であり、「キャッシュレスの初歩的段階」であると思う。従って、現金が必要な方式は私は導入しない。ある意味において、邪道だからだ。
 
 スマホに入っている決済方式は以下の8つである。
①iD
②QUICK Pay
③PayPay
④LINE Pay
⑤Origami Pay
⑥d払い
⑦楽天Pay
⑧PRING

 9番目としてファミペイも入っているが、ファミペイは現時点でファミマTカード以外からのチャージができない。つまり、一般客には現金チャージのみしか行えない。従って、チャージを行っていない。このままで行けば、ファミマでしか使えないこともあり、ファミペイの将来性には疑問符が付く。

 また、セブンペイも7月2日にインストールしたが、インストール途中でそのセキュリティの甘さに気づいた。既存のセキュリティが低いセブンイレブンアプリにバンドルする形でインストールされ、ファミペイのように完全にアプリが決済対応の形式に置き換わるものではなかった。セブンペイアプリは容易にそのセキュリティの低さがわかるものだったので資金移動は行わずに様子を見ていたら、翌日7月3日にあの不正使用問題が発覚、そのまま何も使用しないまま終息を迎えている。

 蛇足だが、自前でキャッシュレス決済方式を展開しなかったローソンは、決済方式の多方面展開で無理をしなかった。決済にかかる開発費を抑制して独自性を発揮した。結果として、セブンペイに失敗したセブンイレブンはローソンの多方面展開を後追いせざるをえなくなったが、無駄な開発費をかけてユーザーからの信頼を失った。

 蛇足の蛇足なのだが、同じように見えるコンビニ決済で1つだけセブンイレブンとファミマで異なる対応がある。「宅急便」の扱いだ。セブンイレブンとファミマは同じ宅急便を出せるが、セブンイレブンはキャッシュレス決済が可能で、ファミマは現金のみである。これはQRコードになる前のクレジットカードやFeliCaのときから同じで、ファミマではキャッシュレス方式では宅急便が出せない。ここのところが、ファミマで一番残念なところで、ちっとせこいと感じる。まぁ、細かなことなのではあるが、だからファミマでは宅急便は出すことがない。

 「完全キャッシュレス」という観点から、この8つの決済方式を見ていこう。

●iDとQUICK Pay
 FeliCaを使用するおサイフケータイ。支払いはクレジットカードで、いわばキャッシュレスの古典的存在。チャージを行って決済を行うこともできるが、本来の決済はクレジットカードによる後払いが醍醐味である。完全キャッシュレスである。

●PayPay
 銀行口座からのチャージと、クレジットカード紐付けが行える。ただし、クレジットカードによる紐付けではキャシュバックがほとんどなく、メリットがない。このため、主に銀行口座からのチャージを用いている。銀行口座からのチャージは100円から1円単位で行える。対応する銀行は多く、三井住友と地方銀行の2つを登録している。クレジットカードも登録していて、個人識別が行われており、例の緑の「信頼性ある認証マーク」が付いている。完全キャッシュレスである。

●LINE Pay
 基本的にはチャージのみである。銀行口座2つを登録。チャージは100円から1円単位で行える。LINE Payカードも持っているが、決済はチャージ額から行われるのでチャージの方式とは無関係。QUICK Payも使えるが、別に本来のQUICK Payを所有しているので、LINE PayのQUICK Payを使うことはない。LINE Payは決済専用のアプリもあるが、LINEと一体となったアプリは肥大化して複雑で使い勝手が悪い。完全キャッシュレスである。

●Origami Pay
 チャージは一切ない異色のQRコード決済。デビットカードのように決済時に瞬時に銀行口座から当該金額が引き落とされる決済と、クレジットカードから引き落とされる決済方式をその都度選択できる。銀行口座から引き落とされる決済の方が割引額が大きいが、クレジットカード引き落としの場合の割引額との差が少なく、クレジットカード引き落としの場合はクレジットカードのポイントが付与されるので、実質的は割引額に差はないと言える。完全キャッシュレスである。

●d払い
 クレジットカード支払いと紐付けできる。キャリア決済とも紐付けられるが、dカードとの紐付けが有利。dポイントがd払い時とdカード決済時の二重取りできるのがメリット。当然完全キャッシュレスである。

●楽天Pay
 楽天カード以外にも多数のクレジットカードに対応、私はVISAと紐付けている。楽天Payは支払い方式が多様で、当然完全キャッシュレスになっている。

●PRING
 店舗での支払いにも対応しているが、対応店は少ない。相手との送金が簡単に行えるのがメリット。驚くべきはセブンイレブンのATMでスマホによりカードなしで現金引き出しが「手数料なし」で行えること。送金も現金引き出しも銀行口座からのチャージから行える。もちろん完全キャッシュレスである。

 私はインストールしていないが、メルペイも銀行口座からのチャージがこの春から可能となったようで、完全キャッシュレス化が行えるようだ。メルペイのiDは本来のiDとの使用を選択する必要があるので、支払時に面倒になるため現時点では使用していない。

 キャッシュレスの王道とか論評されているSuicaだが、モバイルSuicaではクレジットカードからのチャージは可能なようだ。ただし、チャージ単位は1000円単位で、10,000円まで。Suicaインターネットサービスを使うと1000円から1円単位で可能とあるが、詳細は不明。銀行口座からのチャージは2019年9月に終了した。基本的に駅の券売機やコンビニでの入金が前提で、クレジットカードからのチャージは年会費が必要なようだ。

 このあたり、SuicaにはモバイルSuicaとEASYモバイルSuica、Suicaカードがあってサービスが異なっていて、非常にわかりにくい。もっと詳細な説明が必要だろう。どうも加入者が多いことや歴史が古いことにSuicaはあぐらをかいている印象があって、普及への必死さが感じられない。JR東日本からは、Suicaの完全キャッシュレス化を推進しようという強い決意も感じ取れない。加入者数の多さに慢心していると言われる所以である。いずれにしても、Suicaで完全キャシュレス化を実行するのはなかなかに難しいことなのだ。何しろSuicaの歴史はキャッシュレス方式の中では飛び抜けて長いので、現金チャージが当たり前、デフォルトであるという「一種の文化的な潜在意識」がJR東日本には存在しているように思う。

 交通系の決済はFeliCaを使っていることもあって、店舗では同じFeliCaを使うiDやQUICK Payが使えることが多い。このため、チャージ式のSuicaを使う必要性がない。これがモバイルSuicaを導入しない理由の1つである。わかりにくくて現金不要チャージが行いにくいSuicaはそれほど利便性が良いとは言えない気がする。ビューカードとの親和性に依存した商品戦略ももはや概念としては古い。キャッシュレスの王道とかもてはやされているうちに、他の新興キャッシュレス方式の後塵を拝するということもありえる。結論から言えば、Suicaはキャッシュレスとして、電車代金支払い(カードを持っていればよい)以外には大きなメリットがない。
 
 キャッシュレス支払いは、「これさえあれば」という方式がない。また、「完全キャッシュレス」が理想なので、これが行える方式を選ぶのがマストだろう。
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